方位神ってなに?

方位神とは、九星術で得られた方位の上を毎年十干や十二支に従って移動する神々のことで、吉神と凶神に分けられます。

南北を示す方位磁石
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その年の方位神の位置は、市販の暦の初めの方のページにある「方位吉凶図」に書かれています。

歳徳神(としとくじん)

暦を開くと、たいてい八角形の「方位吉凶図」の近くに描かれている女神さまです。

その年の福徳を司る神さまで、年徳、歳神、お正月さま、としとくさまなどと呼ばれます。

正月に門松を立てたりして家の中に迎えるのは、この神さまです。

「方位吉凶図」に「恵方」や「あき方」「明きの方」と書かれているのが歳徳神がいる吉方で、この方向の神社仏閣へ初詣(恵方参り)をすれば、その1年は安泰であるとされます。

また何事も、この方向へ向かって行なえば成就するとされます。

自分の本命星と歳徳神のいる方位が重なると、その年は大吉とされます。

本命星については、「九星 | 歳事暦」を合わせてご覧下さい。

暦によっては、歳徳神を牛頭天王の妃の頗梨采女(はりさいじょ)とするものがあります。

八将神(はっしょうじん)

八将神は、それぞれ「方位吉凶図」の8つの方位に位置し、その方向の吉凶を司ります。
八大方位神ともいいます。

太歳神(たいさいじん)

太歳神は木星(歳星、おおどし)の精とされ、四季の万物の成育を司る吉神。

その年の十二支の方角と同じ方位にいて、1年間、その方位を吉方とします。
(十二支は太歳神のいる方角を表わす符号として誕生しました。「十二支 | 歳事暦」で説明しています。)

しかし、木の精なので、その方向へ向かって樹木を伐採したり、草木を刈り取ることは慎むとされています。
また、訴訟事や談判、取り壊しなど破壊的な行為も大凶です。

反対に、結婚や家を建てること、開店や取引の始め・雇用・祝い事など建設的な行為は吉で、植え付けなどは大吉です。

大将軍(だいしょうぐん)

大将軍は金星(太白星)の精で、殺戮を司るといわれ、八将軍の中でもっとも恐れられています。

大将軍は一つの方位に3年とどまって動かないため、「三年ふさがり」といわれます。

この方位に向かって建築・移転・婚姻などをすると、大けがや大病を患うなどとされます。

とくに旅行は大凶です。

しかし、春夏秋冬と土用のなかのそれぞれ5日間だけ他の方位に移動(遊行)して留守なので、その間は災難に遭わないとされます。

また、方違えをしてこの方位を用いることもできます。

大陰神(だいおんじん)

大陰神は土星(鎮星)の精で、八将神の中の唯一の女神です。
太歳神の妃なので、太歳神のあとを3年遅れて移動します。

陰事を司る凶神です。

この方位に向かって、学問や芸術に関することは吉です。

しかし、縁談や出産など女性に関すること一切が凶です。

歳刑神(さいぎょうしん)

歳刑神は水星(辰星)の精です。
刑罰・殺伐を司る凶神です。

歳刑神のいる方位に向かって種まき・伐採など土を動かすことは凶とされます。

反対に、破壊的な行為・武道習得は吉です。

歳破神(さいはしん)

歳破神は大陰神と同じく土星の精です。

つねに太歳神の反対側にいて、衝き破られることから歳破神との名が付きました。

死亡と盗賊を司る凶神です。

歳破神のいる方位へ向かっての普請・造作・土を動かすこと・引っ越し・結婚・旅行・家畜を購入することは凶とされています。
もしもこれを犯すと、その家の主人が盗難などに遭うといわれます。

歳殺神(さいせつしん)

歳殺神は金星(太白星)の精です。
殺気を司り、万物を滅する凶神です。

歳殺神のいる方位に向かっての結婚・出産・養子縁組・移動・建築・旅行・金策は凶とされます。

とくにこの方位に向かっての婚姻は大凶です。

もしもこれを犯すと、子孫と家畜が傷つけられるといわれます。

しかし、仏事は吉とされます。

黄幡神(おうばんしん)

黄幡神は羅睺星(らこうせい)の精で、太歳神の墓とされます。

羅睺星は想像上の天体で、光を覆って月食や日食を起こす星とされます。
土を司る凶神です。

黄幡神のいる方位へ向かっての建築・移転・金銭の授受などは凶とされます。

武芸始め(弓始め)としてこの方位へ向かって弓を射るなど、武芸に関することは大吉とされます。

豹尾神(ひょうびしん)

豹尾神は、想像上の天体の計都星(けいとせい)の精です。

不浄を嫌うとされ、この方位へ向かって大小便をしたり、家畜を購入すること・結婚・出産・人事は凶とされます。

豹尾神は黄幡神と反対の方向に位置します。

金神(こんじん)

金神は金星(太白星)の精で、歳徳神の正反対に位置します。
戦争や大火・干ばつ・疫病を司る凶神です。

金神は古い暦には記載されていませんでしたが、平安時代末期から流行し始め、江戸時代の貞享暦に記載されるようになりました。

金神のいる方位は金の気が満ちて、物心すべてが冷酷になります。
昔は、鬼門以上に忌み嫌われました。

この方位に向かって、建築・移転・嫁取り・結婚・墓を作ることなどが厳しく忌まれました。

もしもこれを犯すと、「七殺(しちさつ)」といって家族7人が殺されるとされました。
家族に7人いないと、隣の家にまで災禍が及ぶとされて恐れられました。

金神は上の大将神と同じく、ときどき自分の方位から移動(遊行)します。
決まった十干十二支の日と、四季ごとに年間合計45日間留守にするので、その日は何事もだいじょうぶとされます。

また「金神の間日」という、金神がいるにも関わらずその方位に向かって何かをしても差し支えない日もあります。

巡金神、大金神、姫金神

金神は巡金神(めぐりこんじん)とも呼ばれます。

大金神はその年によって方位が一定していて、大凶神です。
すべてのことに凶で、とくにこの方位に向かっての普請・修繕・土を動かすこと・移転は忌まれます。

姫金神は大金神の正反対の方位に位置し、大金神ほどの凶神ではありませんが、同じ性質を持ちます。

そのほかの吉凶方位

恵方

恵方とは「あきの方」ともいわれ、その年に歳徳神がいる方位のことです。

昔は、歳徳神が来臨する方角のことでしたが、のちに上のような意味に変わりました。

この方位はすべてのことに大吉です。
さらに、その人の本命星と重なると、いっそう吉になるといわれます。

しかし、金神や歳破神などの凶神と同じ位置になると、凶に変わります。

鬼門

東北の方角(艮(うしとら))のことです。
陰陽道では鬼が出入りする不吉な方角として、すべてのことにおいて忌み嫌われています。

江戸時代の暦には、鬼門の方向へ向けての引っ越しや造作は忌むべきと書かれていました。
そこで、家の東北の方向に鬼門除けといわれる神仏を祀ったり、樹木を植えたりして、鬼が出入りしないようにしました。

鬼門除けには、現在の京都御所でもされているように、猿の置物を屋根に置いたりします。
植物は、難を転じるという南天や、棘のあるヒイラギを植えるといいといわれます。

鬼門と反対側、南西の方角(坤(ひつじさる))を裏鬼門といいます。
鬼門同様に忌み嫌われますが、鬼門ほど強烈ではないそうです。

天徳

この方向に向かって物事を起こせば福を招き、運を開く吉方です。

月徳

大吉の方位。
凶殺を制し、福をもたらします。

五黄殺(ごおうさつ)

その年の「方位吉凶図」において、五黄土星が位置している方位のこと。

本来、五黄土星は中宮(八角形の真ん中)にいるのですが、9年に1度真ん中から外に出ます。
その出た方角が凶方となります。

五黄殺はいかなる吉神の力も撃破してしまうくらい強烈とされています。
そのため、この方位に向かって何かをするのはすべて凶です。

とくに、土を動かすこと・引っ越しは大凶とされます。

暗剣殺(あんけんさつ)

五黄殺の正反対の方位で、暗闇の夜に背後から斬りつけられるくらいに大凶の方位とされます。

もしもこの暗剣殺を犯すとさまざまな災厄が降って湧いて襲ってくるといわれ、とくに家の中で深刻な問題をもたらすとされます。

したがって、この方位に向かっての婚姻・建築・修理・移転などは厳しく慎むべきとされます。