市町村単位で行われる成人を祝う式典には、正装で出席する習慣があります。

男女多くの新成人が壇上を見つめている
illustration by 季節のイラスト「花鳥風月」

女性が振袖を着るようになったのは、1960年代の高度経済成長期以降のことで、古くからの習慣ではないようです。
(それまでは女性もスーツを着ていました。)

男女とも、成人式で着る正装用の服装や装身具は、両親から贈られるのが一般的です。
この機会にフォーマルウェアを新調しておくと、便利です。

女性の和装

成人式では大多数の女性が振袖を着ています。
振袖は未婚の女性の正式礼装で、袖丈が長く(約114cm)豪華な大振袖がもっとも格が高くなります。

成人式などで着られているのは、少し袖丈の短い中振袖(袖丈95~100cm)です。

決して安くはない振袖を購入するかレンタルにするかは、のちのちどれほどその振袖を着るかによります。

振袖を購入した場合のいい点

  • 子どもっぽくない模様やシンプルな地模様のものを買って、あとで袖を切って訪問着にすれば、長く着続けられる
  • 娘に着せてあげられる
  • 大学の卒業式・謝恩会、きょうだい・親戚や友人の結婚式、自分の結納の時に着られる
  • 仕立て直して引き振袖にすると、自分の結婚式のお色直しで着られる
  • レンタルはあつらえ済みなので、気に入った模様があっても身長が合わなくて着られないことがある
  • レンタルだと同じ模様の人に出会う可能性がある
  • 安いものをレンタルしたら、見る人が見たらすぐにわかる
  • レンタルは古典的な模様が多い。買うと好みの現代的な模様が着られる

振袖を購入した場合の悪い点

  • 娘が生まれるとは限らない
  • 娘に着てもらおうにも、30年ほど前の模様を気に入るかどうかわからない
  • 娘の体型(とくに身長)が、自分と同じとも限らない
  • きょうだい・親戚や友人の結婚式が暑い時期だった場合、着られない。頑張って着ても汗染みが大変。
  • 遠方での結婚式に出席するなら、現地で借りた方が身動きしやすい
  • 同じ友人グループの結婚式では、いつも同じ衣装を着ている自分の写真が残る
  • 大学の卒業式で着る袴に合わせるのは中振袖ではなくて、袖の短い小振袖(85cm前後)。しかも中振袖は活動着である袴とは格が合わない
  • 保管場所に困る
  • 自分で着付けができるか、身近に着付けのできる人がいないと、着るたびに着付け代がかかる
  • 早めに結婚すると、作っておいた振袖が無駄になる

振袖を購入するためには、本人もしくはお母さんが着物好きだったり、気に入った模様のものを買って、何度でも着るぞと強い意志を持つことが重要なようです。

「早めに結婚すると…」とありますが、気にせず振袖を着る人もいるようです。

上の写真は、卒業式や謝恩会に人気のある矢羽根柄の「はいからさん」のような袴です。
袖の長さが、一番上の中振袖の写真とは全然違います。

振袖をレンタルした場合

  • 汚しても気にならない(成人式当日がみぞれ交じりの悪天候だったら大変)
  • 成人式以降に振袖を着る機会があった場合、その都度、気に入った模様が選べる(卒業式の袴には小振袖)
  • 節約して安い振袖を買うよりも、着付け・美容や写真すべて込みのレンタルパックにする方がお得で楽

という利点があります。

女性の洋装

和装の振袖と同等の格の昼間の洋装は、アフタヌーンドレスです。
宮中行事で女性皇族がお召しの、身体の露出の少ない長い丈のドレスです。

さすがにこれは仰々しくて着られませんから、少し砕けたセミアフタヌーンドレスが一般的です。

  • ワンピースかツーピースで、素材は光沢の少ないシルクか、上質のウールもしくは化学繊維のもの
  • 模様は地模様か、派手ではないプリント柄で
  • ジャケットとワンピース、ボレロとドレスなどのアンサンブルを
  • デザインは、オーソドックスでなおかつ流行を取り入れてもいい。スカート丈やネックライン、袖丈は自由
  • 靴はパンプス。バッグは小型のもの。アクセサリーはパールを中心に、光らない物を

これなら、大学の卒業式・謝恩会、きょうだい・親戚や友人の結婚式、自分の結納の時、職場の人の披露宴にも着られます。

昼間のドレスは肌を露出せずにおとなしく、夜のドレスは肩・背中・腕などを露出してきらびやかに、というのが洋装のドレスコードです。

「派手ではない…」とありますが、「色鮮やか」なのはだいじょうぶです。
ふだんの好みよりも数段鮮やかな色合いのワンピースやインナーを選ぶと、現代柄の振袖と比べてもそう変わりがないですね。

男性の洋装

男性はダークスーツが一般的です。
リクルートスーツでもいいのですが、ダークスーツは略礼装としても使えます。
濃紺、黒、ダークグレーで無地のもの(またはシャドウストライプ)を選びます。

上衣とパンツは同じ布にします。

中のシャツは、白でも黒でも好きなものを。
ネクタイにポイントをおいて、センスよく仕上げます。

靴は黒革、アクセサリーとしてポケットチーフ、カフリンクス、タイホルダーを付けます。

男性の和装

紋付羽織袴の男性も多くなりました。

ダークスーツと同じ格の、略礼装としての紋付羽織袴には紋は必ずしも5つ付いてなくても構いません。
羽織の背中に一つだけでもいいです。

また、長着と羽織の色が同じでなくてもいいようです。

夏の成人式の服装

雪の多い地方や、地元を離れて暮らす人の多い地方では、夏の帰省時期に成人式を行なう自治体があります。

男性の場合、春夏物あるいはオールシーズンのダークスーツが一般的です。

女性の洋装は、冬よりも選択肢の幅が広がって自由度が上がります。
冬なら寒くて敬遠してしまうような薄手のパーティドレスも、夏なら選択肢に入ってきます。

夏場であっても「昼間は露出度を押さえる」という制約があることに変わりはないので、式場内の冷房対策を兼ねて、薄手のショールやボレロを合わせると良いでしょう。

女性の和装で、浴衣を着る人も多いようです。

浴衣は、洋装でいうと風呂上がりに着るTシャツと短パンのようなものなので、式典で着るなら絽か紗の振袖です。
「夏の振袖」としてレンタルしている店もあります。

しかし、豪奢な服装を避けるためあえて浴衣出席を推奨している自治体もあるので、地元の情報をリサーチしておく必要があるようです。