香典を渡す
香典ってなに?
香典とは、仏さまに供える「お香」の代わりになる金銭のことです。
昔は、相互扶助として葬儀のために弔問客が米や麦を持ち寄りました。
現代では遺族の側が葬儀に関わる一切を用意するようになったため、弔問客はその代金として香典を贈るようになりました。
いつ渡せばいいの?
香典は通夜か告別式のときに持参します。
両方出席する場合、通夜のときに渡すのが一般的です。
紫・紺・グレーの袱紗に入れて持参して、受付があればそこで渡し、なければ礼拝するときに霊前に供えたり、遺族に手渡したりします。
通夜のときに香典を渡したら、告別式のときには持参しなくてもかまいません。
訃報を受けてすぐの弔問のときには、香典は持参しません。
用意していたかのような印象を与えてしまうので、通夜か告別式のときに改めて持参します。
手渡しできません。どうすればいい?
どうしても通夜・葬儀・告別式に出席できない場合や、遠方だったり、あまり付き合いのない親族の場合は、香典を郵送しても失礼にあたりません。
現金は不祝儀袋に入れ、お悔やみの手紙を添えて現金書留で遺族に送ります。
葬儀会場ではなく、遺族の自宅宛にします。
以前は信書を同封できませんでしたが、現在は可能です。
物品や手紙を同封することは可能です。
定形郵便物、定形外郵便物に現金書留をつけそれぞれのサイズの物品や手紙を同封することは可能です。
なお、ゆうパックは現金書留とすることができません。
どのように用意すればいいの?
不祝儀袋の水引は、悲しみが繰り返されないように結び切りにします。
熨斗はつけません。
元来、不祝儀のときは「急な悲しみ事なので、ゆっくり墨を擦っている暇がなかった」「墨が涙で薄まってしまった」ので、表書きには薄墨の筆ペンもしくは灰色のマジックペンを用いてきました。
しかし、昨今は普通の黒い筆ペンもしくはマジックペンが用いられることが多くなっています。
不祝儀袋の表書きは?
表書きや模様は、先方の宗旨によって異なります。
仏式
表書きは「御霊前」「御香典」「御香料」「御香奠」など
ただし、浄土真宗の場合は「御霊前」ではなく「御仏前」または「御佛前」と書きます。
どの宗派かわからない場合は、「御香典」とすれば大丈夫です。
浄土真宗で「御霊前」を使わないのは、亡くなった人はすぐに成仏しているとされるからです。
「御仏前」はそのほかの宗派では、忌明け法要(四十九日法要・満中陰)後に用います。
不祝儀袋は地域によって違いがあります。
一般的には黒白または双銀です。
上のような「御霊前」「御仏前」「御香典」「御香料」の4種の短冊付きの不祝儀袋を用意しておくと、仏式の葬儀全般に対処できます。
上包みの向きには地域性があり、主に東日本では多当折にします。
西日本では下の写真のように斜め折にします。
西日本、とくに関西では下のような黄白の不祝儀袋も葬儀に用います。
地域によっては、一周忌の法要後に用いるところもあります。
黄白の不祝儀袋の発祥は京都です。
公家が祝儀で用いる紅白は、紅(くれない)の色が黒色に見えるくらいに濃く深いのだそうです。そこで、間違いのないよう、不祝儀は黄色と白色にされたそうです。
表面に蓮の花の絵が描かれている不祝儀袋は、仏式用です。
神式
表書きは「御霊前」「御玉串料」「御榊料」「御神前料」「御神饌料」など
水引は双銀、白、または黒白
表面に蓮の花が描かれていない物を用います。
キリスト教式
表書きは「お花料」
水引は付けません。
「お花料」はカトリックとプロテスタントのどちらにも用いることができます。
「お花料」とするのは、本来キリスト教の葬儀では花を贈るからです。
上の写真のような十字架や花の絵が描かれた不祝儀袋が一般的ですが、なければ白封筒(万円袋)でもかまいません。
名入れはどのようにすればいい?
個人の場合は、姓名を書きます。
連名の場合は右側に目上の人の名前を書きます。
会社などで複数人で包む場合、「○○課 一同」や「○○会社 有志」などと書きます。
紙の上半分の真ん中に「御霊前」などとし、下半分に全員の姓名を記して同封します。
このときも右側が目上です。
お金はどうやって入れるの?
不祝儀袋を購入すると、白い無地の封筒が付いています。これを中袋(中包み)といいます。
中袋の表面に金額を書きます。
このとき、数字は漢数字の旧字(大字)を使います。これは、たとえば「二」に1本足して「三」に改竄されてしまうのを防ぐためです。
漢数字 | 旧字 |
---|---|
一 | 壱 |
二 | 弐 |
三 | 参 |
四 | 肆 |
五 | 伍 |
六 | 陸 |
七 | 漆 |
八 | 捌 |
九 | 玖 |
十 | 拾 |
百 | 陌 |
千 | 阡 |
万 | 萬 |
円 | 圓 |
5千円を包む場合、表書きは「金 伍阡圓也」と書きます。
お金を中袋に入れるとき、人物が書かれていない側をこちらに向けます。
封はのり付けしません。
不祝儀袋の大きな紙(上包み)を開き、中袋を置きます。
あとは、もともと折られていた通りに折り直します。右側を折ってから、左側を折ります。
次に、下側を折ってから、上側を折ります。
これは不祝儀袋の決まりごとで、「悲しみを流してしまう」からです。
中袋を上包みと重ねて水引で束ねるようにする人がいますが、これは間違いです。
お金はきれいなお札を用意します。
新札だといかにも待ち構えていたように見えてしまうので、避けます。
しかし、汚いお札もよくないので、きれいめなお札、もしくは一度横に折り目を付けて開いた新札を入れます。
いくら包めばいいの?
香典の金額は、故人との間柄や付き合いの程度、自分の年齢や社会的な立場によって変わります。
贈る相手 | 20歳代 | 30~40歳代 | 50歳代以上 |
---|---|---|---|
祖父母 | 1万円 | 1万円 | 1~10万円 |
親 | 5万円 | 5~10万円 | 10万円 |
きょうだい | 3万円 | 3~5万円 | 5万円 |
おじ・おば | 5000~1万円 | 1万円 | 1~2万円 |
そのほかの親戚 | 5000円 | 1万円 | 1~2万円 |
友人・知人 | 3000円 | 5000円 | 1万円 |
職場関係 | 5000円 | 5000~1万円 | 1万円 |
勤務先社員の家族 | 3000円 | 5000円 | 5000円 |
取引先関係 | 5000円 | 5000~1万円 | 1万円 |
友人・その家族 | 3000円 | 5000円 | 5000円 |
隣人・近所 | 3000円 | 3000~5000円 | 5000円 |
そのほか | 5000円 | 5000円 | 5000~1万円 |
もしも包む金額に迷ったときは、やや多めに包んだ方が無難です。