鏡餅
鏡餅って何
神さまに供えるための餅。
丸くて平たい形をしているので、鏡餅と呼ばれるようになったと考えられています。
大小2個の餅を重ね、神仏に供えます。
昔の鏡は、丸くて青銅製で、装飾のためではなく神事などの宗教儀式に用いられました。
(古墳から出土したりしますね)
鏡餅の鏡は、天皇の三種の神器の一つの八咫鏡をかたどっているともいわれます。
鏡餅が一般に普及したのは、室町時代に入ってから。
建築様式が変わり、床の間が住居に誕生してからのことです。
武家では、床の間に鎧・兜などの具足を飾り、その前に鏡餅を供えました。
そこから、鏡餅のことを「具足餅」ともいいます。
なぜ、餅なの
古くから、餅には特別な力があると考えられていて、出産や初誕生のときの餅は人間の生命に力を与えるとされました。
だから、出産祝いに餅を贈答したり、初誕生では餅の上に立たせたり背負わせたりします。
正月の餅も神さまに供えたり、お下がりを家族で食べたり、嫁の実家や親族への贈答に用いたりされます。
贈答に用いる餅は「年玉」といい、貰うことで神さまから新しい力を授かるのだとされています。
「餅」の語源については諸説あり、「長“持ち”」からとか、「“持ち”歩くことができる」からとか、「“望”月の日に作る」からとか、「“望”月に似ている」からなどさまざまです。
餅と、何を飾るの
三方に大きめの四角い白紙を敷いて、下に垂れるようにします。
その上に裏白(または羊歯)を乗せて、大きな餅と小さな餅を重ねて置きます。
その上に紅白の紙垂を置き、葉付きの橙を置きます。
地域によっては、干し柿、するめ、昆布なども乗せます。
飾る場所は?
日本には八百万の神さまがいます。
元旦に来られた年神さまへ、床の間に大きめの鏡餅を飾ります。
床の間がなかったら、飾り棚や背の低いタンスの上などに飾ります。
家の中にいらっしゃる氏神さまのために神棚、竈の神(荒神)さまのために台所、厠の神さまのためにトイレ、水神さまのために水道、玄関などにそれぞれ小さな鏡餅を飾ります。
いつまで飾るの?
「鏡開き」「鏡あげ」の日に鏡餅を下げます。
1月11日の地域が多いです。
下ろした餅は、雑煮や汁粉、ぜんざいなどにして食べます。
刃物で切るのは縁起が悪いとし、叩き割ることになっています。
現代では、すでに分けられていて真空パックになった鏡餅が販売されています。
一緒に飾っていた裏白や白紙などは、15日の「とんど焼き」「左義長」のときに注連飾りと一緒に持っていって焚き上げます。
橙や干し柿、昆布などは神さまのお下がりとして、食べます。
食べられなかったら、これも焚き上げします。
燃やすことのできない素材の飾りは、白紙に包んで塩で清めたあと、自治体の処分方法に従ってごみとします。