日本の正月
大正月と小正月
正月とは、旧暦では「一月」のことですが、一般的に、年の初めの諸行事を行なう1月中の日々のことを指します。
正月の行事は、元旦を中心にした日々と、1月15日を中心にした日々に分けられます。
前者を大正月、後者を小正月と呼びます。
大正月は、元旦(1月1日の朝)に宮中や武家社会で公的儀礼が行なわれたり、民間では年神さまを迎えて祀ります。
小正月は、旧暦では満月にあたる日なので、農耕の予祝行事や年占などを行ないます。
明治以降、政府によって正月の行事は元旦を中心に固められ、新暦導入により1月15日は満月とは限らなくなったことから、小正月の意味が薄れてしまいました。
一般の人々の正月行事は、年神さまを迎えて祀り、その霊力によって新しい力を授かろうといった趣旨に基づくものが多くなりました。
年神さま
年神さまとは、新しい年に実りをもたらし、人々に生命を与える存在で、ご先祖さまであるとも考えられてきました。
ご先祖さまは、春に田の神となって山里に下り、秋に収穫が終わると山に戻って山の神になり、正月になると年神になってまた人々のもとに戻ってきて、小正月が終わると帰ってしまうと伝えられます。
事始めで正月準備開始
正月の準備は、12月13日の事始めから始まるとされます。
事始めのときに煤払いをして、年神さまの居場所を浄めて確保しました。
それ以降、年末にかけて大掃除をし、門松を立て、注連縄や正月飾りを飾り、餅をつき、おせち料理を作り、年神棚をしつらえて、年越し(大晦日)の夜を待ちました。
昔の年越し
昔は、大晦日は夕方には風呂に入って身体を浄め、年神さまにお供えをし、家族揃っておせち料理を食べ、囲炉裏の火を焚きながら一晩中起きていました。
元日の早朝に、年男が若水を汲んできて、その水で雑煮を作ったり、家族全員が洗面にその水を用いたりしました。
そして全員で新年を祝うさいに、年神さまに供えた餅の一部を年長者が家族に配りました。
神さまの霊力のこもった玉、すなわち年玉です。
現在は金品の贈答に変わっていますが、年長者が若年者に与えるという基本は変わっていません。
元日は年始回り
昔は、分家が本家を訪ねて祝詞を述べ、一族の長が応対して一緒に飲食をしました。
近代になって、商家がお得意さまの家を訪ねたり、勤め人が上司の家を訪ねるようになりました。
元日の行事は、年始回りと初詣と年神さまのお祭りが中心で、田畑の仕事、家の中の刃物やほうきを用いる仕事は避けられました。
そのため、雑煮を作った後は、年始回りなどに忙しい男性を尻目に、女性と子供はのんびり寝正月ができたのでした。
正月の終わり
正月の終わりは、正月飾りをしまった日とされますが、地域によって異なります。
三が日(3日)、松が開ける(7日か15日)、小正月(15日)、1月いっぱいとさまざまです。