おせち料理
おせち料理のいわれ
「おせち」は「御節」と書き、もともと上巳の節句や端午の節句などの五節句の行事を行なう日のことを指します。
宮中では、季節の節目にあたる五節句に神さまに食べ物を供えました。
この行為を「節供(せちく)」といいます。
神さまにお供えした食べ物や料理、お酒をお下がりとしていただき、神事に参加した人たちとで分け合って食べる事を直会(なおらい)といいます。
のちに直会の料理の中で、もっともごちそうの多い年始の料理を「おせち料理」と呼ぶようになったといわれます。
おせち料理には何を入れるの?
来たる年が良い年であるように願いを込めた、縁起を担いだ料理が入ります。
- 海老
- 長いヒゲと曲がっていることから、長寿を。
- 数の子
- 子孫繁栄
- きんとん
- 金塊、黄金の小判に見立てて、裕福な暮らしを。
- 黒豆
- まめに元気で暮らせるように。
- くわい
- 毎年「芽が出る」という縁起物
- 紅白かまぼこ
- 日の出に見立てて、新年を祝う気持ちを表わす。
- 紅白なます
- 紅白の水引をかたどった、縁起物
- 昆布巻き
- 喜ぶ(よろこぶ)の語呂合わせの縁起物
昆布の和名が「ひろめ」であることから、喜びがひろまるように。 - 里芋、親芋
- 小芋が付くことから、子宝に恵まれるように。
親(かしら)芋から、人の上に立てるように。 - 据り鯛
- めでたいの語呂合わせの縁起物
- たたき牛蒡
- 土中深く根を張ることから、一家安泰を。
または、黒い牛蒡を豊作のときに飛んでくる黒い瑞鳥に見立てて。 - 田作り、ごまめ
- 田作りは、いわしは田畑の肥料として用いられていたので、五穀豊穣と家内安全を。
ごまめは、まめ(健全)に過ごせるように。 - 伊達巻き
- 巻物に見立てて、文化と教養の進歩を。
伊達(粋で洗練されている)であるように、とも。 - 千代呂木、長老喜(ちょろぎ)
- 長寿を。
- 錦(二色)玉子
- 黄身を金、白身を銀の錦に見立てて、豊かな暮らしを。
- れんこん
- 穴が開いているので、「先の見通しがいいように」
このうち、関東では黒豆、数の子、五万米(ごまめ)を、関西では黒豆、数の子、たたき牛蒡を「祝い肴」「三つ肴」といいます。
昔から、おせち料理がなくてもこの祝い肴と雑煮があれば正月を祝える、といわれます。
かまぼこや煮染めに使う野菜、こんにゃくなどはただ切るのではなく「飾り切り」がされます。
たとえば、にんじんを梅の花の形に切った「ねじり梅」や、椎茸を亀甲の形に切ったりします。
重箱の詰め方に決まりはあるの?
重箱は、本来は三段に一段加えて用いられました。
4段目のお重のことを与(よ)の重といいます。
「四」は「死」を連想して縁起が悪いからです。
詰め方は、地方や家庭によって変わります。
- 一の重に祝い肴と口取り、二の重に鯛や鰤などの焼き物、三の重に酢の物、与の重に煮染めを入れる。
- 一の重に祝い肴、二の重にきんとんや伊達巻きなどの口取り、三の重に鯛や昆布巻きなどの海の幸、与の重にくわいや煮染めを入れる。
- 一の重に祝い肴と口取り、二の重に酢の物と焼き物、三の重に煮物、与の重に余ったものを入れておいて他の重の補充用にする。
一つの段には、奇数の品数を五味五色取り合わせ、隙間なく詰め込みます。
味が混ざらないように留意します。
昔は四段重、五段重が用いられていましたが、現代では三段重が一般的です。
また一人用に小さな重箱を用意したり、大きな重箱の一段だけを用いたりと、盛りつけ方が多様化しています。
重箱については当サイトの「重箱の選び方、お手入れ」も合わせてお読み下さい。
重箱がない場合、上の写真のように盛りつけるのもいいですね。
おせち料理、作る? 買う?
おせち料理は縁起物ではあるけれど、何品も自分で作るのは大変です。
好き嫌いもあるし、時間がとれないこともあります。
そこで、調理済みのおせち料理を購入する人が増えています。
百貨店やスーパーで売られているのは、冷蔵のおせちです。(生おせちともいいます)
これまで「自分で作らず買ってくるおせち」といえば、冷蔵がポピュラーでした。
いまどきは冷凍技術の進化によってネット通販で冷凍のおせちが販売されるようになり、人気を集めつつあります。
冷蔵おせちのいいところは、できたてが届くところと、解凍状態を何度もチェックしなくていいところです。
しかし、保存のために味付けが濃く、配達日は年末ぎりぎりです。
冷凍おせちのいいところは、できたてを瞬間冷凍しているので薄味でもだいじょうぶなところと、配達日を選べるところです。
しかし、解凍状態を何度もチェックしなければならず、失敗したら水っぽくなります。
自分で作るとできたてを冷蔵庫で保存しておけばいいし、嫌いなものは作らなくてもいいのです。
ちかごろはいろいろと工夫を凝らした時短レシピがネットに上がったり書店に並んだりしているので、それらを活用すれば時間にゆとりができます。