初午
お稲荷さんのお祭り
2月最初の午の日のこと。
全国の稲荷神社の総本宮の、京都の伏見稲荷大社の神さまが背後の稲荷山に降臨されたのが、和銅4年(711年)の2月の午の日だったことにちなみます。
紀貫之の歌集に、延喜6年(906年)初午に稲荷詣でをしたとの記述があるように、古くからの行事です。
伏見稲荷の初午大祭では、五穀豊穣・家内安全・商売繁盛を祈願します。
また朱塗りの鳥居が「通る」に通じることから、受験生の合格祈願の信仰も集めています。
稲荷山にある摂社・末社を参拝して廻ることを「お山する」といいます。
初午では、きつねがお稲荷さんの遣いとされていることから、油揚げもお供えされます。
関東地方にはスミツカレ(大根、にんじん、油揚げ、塩鮭の頭、酒粕、大豆を材料とした料理)を藁苞に包んだものと、赤飯と餅をお供えするところがあります。
関西地方では厄年の人がこの日に投げ餅をして、厄落としをするところがあります。
稲を司る農耕の神さまのお祭りをすることでその年の稲の実りを願うのは、国家祭祀の祈年祭と同じ意味を持っています。
馬と蚕のお祭りも
午の日なので、蚕や牛や馬のお祭りをする地域もあります。
飾り立てた馬を神社や馬頭観音にお参りさせたり、藁で作った馬の背に餅をのせて道祖神にお供えする行事が行なわれます。
長野県など養蚕が盛んな地域では、繭形の団子と粟穂を蚕神さま(オシラサマ、コカゲサマ)にお供えして蚕の成育を祈ります。
お稲荷さんをお祀りするお寺も
愛知県の豊川稲荷は、正式には妙厳寺という曹洞宗のお寺です。
江戸時代には神社とお寺が明確に区別されていなかった名残で、お寺でお稲荷さん(豐川吒枳尼眞天)が祀られています。
豊川稲荷でも旧暦二月の初午の日に、初午祭が行なわれます。